キャタピラー(2010)

忘れさせない、戦争の姿

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映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』など独特の視点で問題作を発表し続ける若松孝二監督が、戦争の愚かさと悲しみを描いた反戦ドラマ。プロデューサーは尾崎宗子。第2次世界大戦中の日本。シゲ子の夫・久蔵にも赤紙が届き、勇ましく戦場へと向かったが、その結末は悲しいものだった。戦争から戻った久蔵の顔は無残にも焼けただれ、四肢を失っていた。もはや普通の暮らしをできる状況ではない。村中から奇異の目で見られながらも、多くの勲章を得た久蔵は「生ける軍神」として崇められ、変わり果てた存在になっていく。シゲ子は戸惑いながらも久蔵の尽きることのない食欲と性欲を埋めていく。やがて日本に敗戦の影が色濃く迫り、久蔵は自ら戦場で犯した悪行に苦しみ始める。

原題:キャタピラー / 製作:日本(2010年) / 日本公開:2010年8月14日 / 84分 / 制作: / 配給:若松プロダクション、スコーレ 

「キャタピラー CATERPILLAR」 予告編

(C)若松プロダクション


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▼『キャタピラー』をさらに知る

★スタッフ
監督:若松孝二
脚本:黒沢久子、出口出
撮影:辻智彦、戸田義久

★キャスト
寺島しのぶ、大西信満、吉澤健、粕谷佳五、増田恵美、河原さぶ、石川真希、飯島大介、地曵豪

★『キャタピラー』の評価

IMDbRTMETA
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映画comY!FM
3.2???3.1
フルムビバース独自ランク
B(ベターな良作)

★『キャタピラー』の感想

●FILMAGA
過去の日本男児は、手も足もない芋虫となって帰ってきました。芋虫は軍神様と讃えられ、村人達はバケツリレーにひたすら精をだす。戦争により、人は、国は、ここまで滑稽に狂える。そして、跡継ぎと勲章にしか価値を見いだすことができない軍国主義を、勇ましいDV男の軍神様が体現しています。芋虫となった軍国主義の日本に、義務として仕えた当時の日本女性の気持ちが、シゲ子の怒りと侮辱から感じとることができました。
●シネマトゥデイ 
「戦争が終わった」と聞いて満面の笑みを浮かべるシゲ子と、肉塊でしか存在できない軍神様の絶望死。女性の解放と家父長制の終わり。この作品は、愚かな戦争を招いた「男社会(家父長制)」に従属させられた女性や死んだ女の子からの怒りと恨みを代弁しているようでした。ひたすら地獄を味わった戦争が終わり、平和が訪れる…なんてことはない。そこにあるの残った絶望。これが戦後の実態ならば、私の信じているそれは嘘だったのだろうか。
●BILIBILI 
変わり果てた姿で戦地から帰ってきた夫を初めて見たときの困惑。誰も助けてくれない孤独な日々がずっと続いていくことに対する絶望。夫を憎み、愛し、軽蔑し、哀れみ、感情の起伏がどんどん大きくなっていき、次第に理性では抑えられなくなっていく。現代の介護やシングルマザーの育児も似たように苦しくて孤独な、どうすることもできない状況なんだろうなぁ。忘れてはいけないなんて、戦争体験を気軽に言うけれど、当人は忘れたいのかも。
●DAILYMOTION
「この日々がいつまで続くんだろう」っていう先の見えない不安と焦燥感に、いつの間にか蝕まれて壊れていく。そう考えてみると、戦時中の映画という感じがしない。これは今に持続している恐怖の名残。第二次世界大戦がなかったら今の日本はない。しかし、それは安直な未来の放棄。戦争の肯定はできない。でもそれで暮らしてきた、従事してきた人を否定もできない。国のために生きるなんてことではない。結局はこの時代に生きただけなんだ。